藻類培養

クロレラ培養

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商品詳細

クロレラ培養にかかる無料の情報リソースの提供のみですので販売商品ではありません。

クロレラ培養法
クロレラは光と二酸化炭素による光独立栄養培養と貧光下で炭素源をグルコースや酢酸などへ置き換える従属栄養培養が可能です。

光合成は植物にとって光エネルギーを生きるために必要な化学エネルギーに作り替えるエネルギー変換と言えます。
光合成の化学反応式は次のように表され糖分(C6H12O6)が作られることがわかります。

6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2

反応式では単純そうに見えますが、光エネルギーによってNADPHとATPを生産する反応過程(古い言葉でいうと明反応)とカルビン-ベンソン回路で二酸化炭素を固定し糖分を生産する反応過程(古い言葉でいうと暗反応)があり非常に複雑です。
藻類の光合成は酸素発生を伴う酸素発生型光合成ですので反応過程は植物の光合成に準ずると考えられます。

光独立栄養培養によるとクロロフィル、カロテノイドなどの光合成色素の含有量が高くなりますが細胞増殖が遅いという欠点があります。
従属栄養培養によると光合成に頼ることなく糖分(グルコース)を獲得することができ、また藻類の細胞分裂は夜間の暗黒下で行われるため貧光下で細胞分裂に集中できるので光独立栄養培養の数倍の細胞分裂が可能になると言われています。

クロレラ培養を効率的に行うには、まず増殖速度の速い従属栄養培養でバイオマス生産量を増やした後に光独立栄養培養に切り替えるか、強光下で培地に炭素源を加えた混合栄養培養行うことが理想的です。

またクロレラ培養には窒素元として硝酸体窒素が適しているとされますが尿素を用いた方が良い結果が生まれることが知られています。
根、茎、葉という働きに特化した器官を有しないクロレラなら葉面吸収に優れた尿素が適していることは納得できます。


肥料について
藻類であるクロレラは現在、植物でなく原生生物に分類されますが、「肥料の品質の確保等に関する法律」の植物に施される肥料で培養します。
海外ではSE培地やBG-11培地が適していると言われ培地の入手も容易です。

BG-11培地
成分濃度(g/L)
NaNO31.5
K2HPO4 · 3H2O0.04
MgSO4・7H2O0.075
CaCl2・2H2O0.036
Citric acid0.006
Ferric Ammonium Citrate0.006
EDTANa20.001
Na2CO30.02
A5 solution1mL
蒸留水919

A5 solution
成分濃度(g/L)
H3BO32.86
MnCl2・H2O1.81
ZnSO4・7H2O0.222
CuSO4・5H2O0.079
Na2MoO4・2H2O           0.390
Co(NO3)2・6H2O0.049

日本において商業培養以外ではハイポネックスジャパン社のハイポネックス原液が用いられることが多いように思います。
NPKの配分は扨措き、手軽に扱えることや優れた肥料効果からクロレラ培養でも良い結果を出すことが可能です。
但し、クロレラ培養に適していない点を指摘するならば、青色食用色素が配合されている点を挙げることができます。
ハイポネックス原液は土耕栽培用の肥料であり、肥料の濃さが目視でわかりやすいように着色してあります。

アクア業界ではクロレラは、ワムシやミジンコ、アルテミアなどの餌として、またメダカなどの針子のためのグリーンウォーターの素として培養することになりますが色素はクロレラが吸収分解することなく液肥に残ります。
ハイポネックス原液を用いて培養する場合は、色素を飼育水に持ち込むことになりますのでこの点を念頭に置く必要があります。
自分で液肥を作って培養しようとされる方は、クロレラ販売ページに当店の液肥の作り方を載せていますのでご参考いただければ幸いです。
尚、培養作業は一般的に午前中に行うのが良いとされています。

失敗しないクロレラ培養として重要な鍵となるのが液肥のpHです。
液肥のpHは酸性肥料と溶存二酸化炭素の消費とともに必ず上昇していきます。
クロレラ自体はphの上昇に強いのですがキレート鉄や微量要素(モリブデンを除く)は酸性域で有効なためアルカリ性域ではキレート効果を失い不溶性塩として液肥に沈殿するためクロレラが吸収できなくなります。
特に鉄は光合成の促進に大きな影響を与えるためクロレラ培養の成否を左右する肥料と言えます。
そのためアルカリ性域でも安定するEDDHA鉄を使用することが望ましいですがEDDHA鉄は日本国内で入手するのが困難です。

当店ではEDDHA鉄の使用をはじめ、販売用のクロレラ培養にはビニール袋に液肥と二酸化炭素を入れてパッキングするCO2パック培養法を採用しています。

pH9.25を超える環境下(水温25℃)では毒性の高い非解離アンモニア(NH3)の割合が増加しますので、液肥のpHを二酸化炭素により酸性域に安定させておくと飼育水に入れた際にも安心です。

※アンモニア(NH3)とアンモニウムイオン(NH4+)の関係は、硝化菌カテゴリーをご参照ください。

CO2パック培養法を本格的に導入される方へは当店でも使用しているパシフィックスピリッツ社の「誰でも炭酸水Beeタン」シリーズの減圧弁やエアーダスターガンが便利ですので購入をお勧めいたします。
もともと飲料用炭酸水メーカーですので美味しい自家製炭酸水を作ることができる「逆止弁付炭酸ガス注入キャップ」 も併せて購入されると活用範囲が広がります。

CO2パック培養法のその他の利点
・太陽光を利用すれば未電化の地域でも培養可能であり、安価な設備投資で化石燃料代替資源として大規模な藻類バイオマス生産が行える可能性を秘めています。
・密閉することで原生動物などの侵入を防ぐことができ衛生的な培養ができます。
・目視による光合成の確認が容易です。

クロレラCO2パック培養を動画にしました。



藻枯の症状と原因(主に光独立栄養培養による症例です)
1.色が濃くならない
培養器中に光合成により発生した小さな気泡が確認できるが色が濃くならない場合は光量不足の可能性があります。藻類の増殖は十分ですが色素体の成長が増殖速度に追いついていません。光の強度を増やすとゆっくりと色の変化が現れるかもしれません。

2.培養液が薄くなり底に緑色の沈殿物が見られる
最初は沈殿した藻液の色が薄くなります。培養過程に培地の追加が間に合わず、栄養不足で藻類が老化し枯れたものと思われます。 藻液が完全に透明で底にたくさんの緑色の沈殿物がある場合すべての藻が枯れています。

3.培養液が黄色く透明になる
培養液が黄色く透明になり、底に黄色い沈殿物がある場合はバクテリアが増殖して藻類が死滅しています。

4.培養液が黄色くなり顕微鏡観察により藻類が確認できる
培養液が黄色くなり顕微鏡観察により藻類が確認できる場合、または光合成により発生した小さな気泡が確認できる場合は光量不足の可能性がありますので光量を増加させてください。

5.藻の色が沈殿物なしで透明になる
光が強すぎるとストレス反応が起こり藻類が透明になりこの場合底に沈殿物は確認されません。適切な温度と光条件に調整し、少量の栄養素を加えると一日で回復する場合もあれば回復に数日かかる場合もあります。

6.原生動物
藻の色が一日でオフホワイトに変色し顕微鏡観察で大量の原生動物が確認できる場合は、良好な培養条件下で藻類の活発な成長に合わせた栄養添加がタイミングよく出来なかったため原生動物が大量に繁殖しています。


光源について
室内でのクロレラ培養には一般的に白色LED灯が使われることが多いと思います。
白色LEDの発光原理は主に下記の4タイプに分かれます。
1.青色LED+黄色燐光剤
2.青色LED+赤緑色燐光剤
3紫色LED+赤緑青色燐光剤
4.赤緑青色LED混光
そのため赤色の光域が乏しいものの光合成に有効な青色光を持つタイプが多く比較的効率的であると考えられます。

一方で光合成で使われる青色光(波長464~467nm)と赤色光(波長625~627.5nm)を比較した実験があります。
この実験によるとChlorella pyrenoidosaは光量5000lux、光周期8L:16D、赤色LED連続点灯が望ましいことが証明されました。
引用文献: 以单色和白光LED为光源的城市污水中斜生场面藻和小球藻培养
Waste and Biomass Valorization ( IF 3.703 ) Pub Date : 2021-02-06 , DOI: 10.1007/s12649-021-01359-4
Zhongqi He , Wei Han , Wenbiao Jin , Jing Yang , Shuhong Gao , Shao-feng Li , Renjie Tu , Songfang Han , Yidi Chen , Xu Zhou

また論文は存在しませんが遠赤色光の照射がクロレラ培養に有効であるという情報があります。

植物は光を光合成に活用するだけでなく周囲環境を知る情報源としても活用します。
この情報をもとに生存戦略の一環として光合成産物の適正な分配を行うことが可能となります。
光合成で利用される赤色光(光エネルギー変換はクロロフィルが行います)を吸収するPr型と光合成では直接利用されない(不要という意味ではありません)遠赤色光を吸収するPfr型から成る光受容体であるフィトクロムを用いて自分が受けている太陽光に占める遠赤色光の割合が増えた場合、別の植物に光合成に必要な赤色光を横取りされた、すなわち自分より背の高い植物に覆われたとライバルの出現を知ることが出来ます。
これにより茎の成長を最優先して丈を伸ばすことで光の争奪戦に勝つことが出来ます。

緑藻類のクロレラにもフィトクロムが備わっており植物同様の生存戦略を展開しているのかもしれません。
藻類の細胞分裂は夜間に行われるため消灯前の数時間遠赤色光の照射を行うと良いかもしれません。

イメージ図

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