餌料培養

オメガブースターズ【15ml×3】

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商品詳細

アルテミアやワムシのブースト用天然オイルです。
健康食品やサプリメントの製造を手掛けるRichteck社から買い付けたヒューマングレードですが餌料として販売いたしますので飼育者様は召し上がらないでください。


ヒューマングレードのため魚油には天然柑橘系フレーバーが添加されています。

オイルと湯を1対の1割合で作ったプレエマルション液を、海⽔1Lあたり0.25ml使用する場合、1,000ml÷0.125ml=8,000倍に相当しますので、本製品で45ml×8,000=360,000ml(360L)のブースト液に相当します。

【留意事項】
アルテミアブーストは2令からしか出来ません。
孵化後8~12時間後に脱皮を行い2令になりますがこの時に初めて口が形成されます。
孵化するタイミングにずれ(好適環境下では孵化は約12時間経過後から順次開始します)がありますので孵化後のノープリウスをブーストする場合は12~24時間程度と長めに行うことを推奨いたします。
また、エマルションは力学的に不安定であり方法により粒子の大きさに開きが生じます。
成長した雄を除くアルテミアは濾過摂食で適正な餌の範囲は1~50μmと言われています。 (D’Agostino, 1980; Van Stappen, 1996; Dhont and Sorgeloos, 2002).
またFernández(2001)は、アルテミアの飼料の大きさは6.8〜27.5µmの範囲で最適値は約16.0µmとしています。
米国の特許(特許公開番号: 20160058039)にクリルオイルのプレエマルション粒子サイズが記載されており、20w/w%、60℃の条件でオーバーヘッドミキサーにより7,000rpmで15分間攪拌されたクリルオイルの粒子サイズ が7.23μmとあります。
このサイズはアルテミアにとって最適なサイズと言えますが更に小さくなる場合もあります。
エマルションは時間の経過と共に崩壊し、凝縮などにより粒子の大型化が進行します。
このことからミキサーなどで可能な限り粒子を小さく攪拌し崩壊過程の中でアルテミアにとって最適な粒子サイズを迎えさせるためにブースト時間は長めに設定する必要があるのではないかと考えます。
またEPAの取り込みは時間に比例します。
尚、DHAの取り込みは温度、ARAの取り込みは塩分濃度と関係があります。

※魚油に含まれるオメガ6系多価不飽和脂肪酸であるARAの含有量は様々ですが通常は全脂肪酸の約1%と少ないので含有量を増やす場合は卵黄を少し混ぜてください。
卵の白身には成長促進効果のあるビオチンに結合することでビオチンの吸収を阻害する成長阻害因子としてのアビジンが含まれています。
アビジンは加熱により不活性化しますのでゆで卵にしてから卵黄を取り出して混ぜても構いません。
また、卵黄に含まれるレシチンには乳化作用があり乳化剤として食品、化粧品、医療など多くの分野で活用されています。アルテミアブーストに於いても多様されています。
参考:J.R. SARGENT, L.A. MCEVOY and J.G. BELL, Aquaculture, Vol. 155, 117-127 (1997).

【商品説明】
従来より水産業に於いては効率的な吸収同化を行える水産飼料として魚粉やフィッシュオイル(FO)を積極的に利用することで大きな成果を残してきました。
近年、水産資源の枯渇などによる影響を受けて飼料コストが増加し、FOに代わる脂質源として植物油(VO)の導入研究が行われ成果を上げています。
しかし一部の魚種を除き栄養価の観点から完全な代替飼料と呼べるまでには至っていません。
この養殖の考え方は水産食品として安全性はもとより魚を短期間で大きく成長させて商業的収益を得る目的が要求されますので、アクア業界で応用するには視点を変える必要があるのではないかと考えます。
水産食品としての魚は通常生産効率の良い大型魚が多く、小さな魚を狩って捕食する捕食者であるため、魚類が魚類を食べるカニバリズム(同種を食べる養殖魚も多いので大きな意味での共食い)は自然の摂理であり、ブーストされた生き餌を与えることで稚仔魚期における同種間のカニバリズムが解消される事例が海水魚、n-3HUFA要件の低い淡水魚養殖ともに確認されています。
稚魚は消化器系が十分に発達していませんので栄養価の高い餌を与えても十分に吸収することができません。
また、n-3HUFA合成能力も成魚に比べ著しく劣るのではないでしょうか。
DHAは、消化器系の発達を促進することが知られています。
また生き餌が持つ消化酵素を取り込み利用することで未熟な消化能力を高める相乗効果をもたらすのではないかと考えます。
一方でアクア業界で飼育される魚は一般的に観賞用の小型種が多く、カニバリズムを好む魚種や同種他種にかかわらず魚類を全く食べない魚種も含まれます。
自然の摂理にそぐわないカニバリズムはBSE (bovine spongiform encephalopathy)のようにタブー視しなけらばならない局面もあることから食物連鎖の各栄養段階から由来の異なる3種のオイルを用意しました。
決してオメガ戦隊を作りたかった訳ではありませんが、三つの力を一つに合わせてご使用ください。

尚、脂肪酸に関する書籍「Fatty Acids」では、下記のように述べています。
魚類の食性は⾁⾷性、 草食性、雑⾷性、および腐敗性 (detritivore, detrivore, or detritus feeder) に分類され、更に各クラスは多⾷性 (多種多様な⾷物を⾷べる)、狭食性 (限られた種類の⾷物を⾷べる)、単⾷性 (1種類の⾷物だけを⾷べる) に分類されます。
一般に肉食種は天然下では高脂肪の栄養素に含まれる脂質、養殖下ではペレット飼料を消化する能力に優れており、この能力は脂質を貯蔵する遺伝的潜在能力に起因しています。
一方で草食性・雑食性の魚種は、脂質を多く含む栄養素や飼料を消化する能力は低いです。
脂質消化能力は多くの要因に影響されますが、肉食種の優れた脂質消化能力は、高いリパーゼ活性に起因しています。
また、脊椎動物の中では魚類が最も種の多様性が高く脂肪酸組成が様々です。
魚類の脂肪酸組成のばらつきの最も重要な原因は、種間の違いです。
更に、生態学的条件の異なる水域環境(海水、淡水、冷温水)とその環境の生物的、物理的、化学的特性によって異なります。
また、季節の変化、回遊、性成熟と産卵期、食習慣、養殖か天然かなども脂質・脂肪酸組成に影響を与えます。
更に、養殖条件や飼料も、脂肪酸組成のばらつきの原因となります。

引用:Taşbozan, O., & Gökçe, M. A.  (2017). Fatty Acids in Fish. In  (Ed.), Fatty Acids. IntechOpen. https://doi.org/10.5772/68048


【構成】
アイコンは主な必須脂肪酸の種類と大きさによる含有量の目安です。

・レッドブースター【クリルオイル】


リン脂質に結合したEPA・DHAによる自己乳化作用を持つまとめ役
抗酸化作用と色揚げ効果のアスタキサンチンレッド

・ゴールドブースター【フィッシュオイル】


養魚用フィードオイルとして定番のオメガ3系多価不飽和脂肪酸(DHA・EPA)の供給源
魚の脂肪酸組成なので魚にとって最高の成長パフォーマンスが得られる実りのゴールド

・グリーンブースター【シゾキトリウムオイル】


海洋由来DHAの供給源にして持続可能なDHAの供給源の大本命
食物連鎖の底辺に位置する微細藻類なので最もクリーン

【使用方法】
作り方はハワイ大学の資料を基に乳化剤不使用エマルションとしてアレンジしています。
オイル200ml×8,000倍=1,600,000ml(1.6t)のブースト液が出来る例になりますのでエンドユーザーが使用しやすいようにスケールダウンさせる必要があります。

1.200mlのオイルをガラスビーカーに⼊れホットプレートで50℃に温めます。
2.温めたオイルをブレンダーに注ぎ200mlの湯(40~50℃)を加えて乳白色になるまで攪拌します。(プレエマルション)
レッドブースターを使用しない場合はこの段階で乳化剤を入れます。
3.混合液を250mlの容器に移し蓋をします。
容器に⽇付ラベルを付けて冷蔵保存します。
混合液は冷蔵保存で2~3週間使用できますが酸っぱい臭いがしたり悪臭を放つようになれば処分してください。
4.エマルションは、海⽔1Lあたり0.25mlの濃度で行います。
アルテミアを入れる前に、混合液を少なくとも10分間通気してよく曝気してください。
⿂に与える前に、6時間以上400ノープリウス/mlの密度で培養します。
⼀般的な⽅法は、夜にセットを行い一晩培養した後、翌朝⿂に与えます。
与える前に培養したアルテミアをネットで掬い海⽔でよく洗い流してください。
注意: ノープリウスを⼀晩養⽣すると、孵化したてのノープリウスよりも⼤きく成長します。

Artemia franciscana(海洋性株)のノープリウスを最善にブーストさせる環境を塩分濃度、温度、時間について研究した資料があります。
この場合の最善とは、成長と死亡率を抑え、ARA、EPA、DHAの取り込みを最適化、最大化に行うことと定義し、塩分濃度3%、水温21℃、23時間のブーストで目的を達成できるとあります。

引用文献:Joana Figueiredo, Robert van Woesik, Junda Lin, Luís Narciso,
Artemia franciscana enrichment model — How to keep them small, rich and alive?,
Aquaculture,
Volume 294, Issues 3–4,
2009,
Pages 212-220,
ISSN 0044-8486,
https://doi.org/10.1016/j.aquaculture.2009.05.007.

用語解説
EFA(Essential Fatty Acid):必須脂肪酸
LC-PUFA(long chain polyunsaturated fatty acids):長鎖多価不飽和脂肪
EPA(Eicosapentaenoic acid(20:5n-3)):エイコサペンタエン酸
DHA(Docosahexaenoic acid(22:6n-3)):ドコサヘキサエン酸
ARA(Arachidonic acid(20:4, n-6)):アラキドン酸




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